CITIZEN 2025年 シチズン・オブ・ザ・イヤー®️ 代表大和の受賞スピーチ全文

代表大和の授賞式でのスピーチを掲載します。お読みいただけましたら幸いです。

この度は、伝統ある「シチズン・オブ・ザ・イヤー」に選んでいただき、シチズン時計株式会社の皆様、選考委員の皆様に心より感謝申し上げます。私が地域の女性たちと小さな活動を始めてから、10年余りが経ちました。振り返って思うのは、今日ここに立っている私は、決して一人でここまで来たのではない、ということです。むしろ「一人では、何もできなかった」という思いの方が強くあります。これまで支えてくださった多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

市民活動を始めた当初は、女性の自立やこども達の安心な暮らしを実現するために、市民活動に励んでいました。身近な人同士が支え合えば、それが地域の中で影響しあい、助け合いが続いていく。そんな社会を思い描いていました。けれど活動を続ける中で、その輪の中に入れない人たちがいることを知りました。特にひとり親家庭の中には、孤立し助けが必要でも「助けて」と言えない人がたくさんいました。しかし、相手を傷つけたくないという思いがあり、声にならないSOSをどう受け止めていいのかがわからずに、迷ったことがたくさんありました。

忘れられない出来事があります。あるひとり親のお母さんが相談にやってきてお話されました。
「離婚したことで、子どもを貧困にしてしまった。家事を手伝わせ、ヤングケアラーにしてしまった。こんな思いをさせるくらいなら、こども達を生まなければよかった。」と涙ながらにお話しをされました。
その方は、離婚を悔やむのではなく、こども達を命を生んだ自分のことを責めていました。私は、その言葉の重さに、かけることばが思い当たりませんでした。

一方で、別の場所では、まったく違う言葉にも出会いました。「自分は20歳で死のうと思っていたけれど死ないでよかった。生きていたからこの子に会えたと。」その女性は、幼い頃から厳しい環境で育ち、親に頼れずに一人で生きてきました。そして、こどもを妊娠しましたが、パートナーにも頼ることができずひとりでこどもを生みました。苦しみの中で親になったのですが、そのこに支えられながら、生き直している姿を見せてくれました。

親であることの責任は確かに重い。けれど同時に、人はこどもに助けられてもいる。こども達の存在そのものが、人生をつなぎ直す力になる。そういったことを、多くの親子から学びました。それを知ってからは、子育ての重さを家族だけに背負わせてはいけない。社会が一緒に抱えるべきなのだと、強く思うようになりました。

親子を孤立させないためには、見守るだけでは足りません。誰かが、少し「おせっかい」をして近づくこと。「大丈夫?何か手伝おうか?」と声をかけ、手を差しだすこと。その勇気を、ひとりの個人でだけではなく、市民のつながりとして持つことが必要なのだと感じています。

私のその勇気と力を与えてくれたのは、そうした思いを共にしてくれた仲間がいたからです。支えてくれた家族、一緒に協働してくださった連携団体の皆さま、ボランティアの方々、そして寄付で支えてくださる多くの市民の皆さま、スタッフ、そして、出会ってきた親子たち。一人ではできなかったことを、「みんなでだからこそ」続けてこられた。その歩みそのものを、今日ここで評価していただいたのだと受け止めています。

この賞を励みに、助け合える地域づくりのために、孤立しそうな人たちに声をかけられる地域にしていけるよう、活動を広げていきたいと思います。こども達が、「自分は一人ではない」と感じられる社会を、そして、大人になる希望がある社会を、市民の力でつくり続けていきたい。心からの感謝とともに、その決意をお伝えして、私の挨拶とさせていただきます。 本当に、ありがとうございました。

2025年1月29日(木)パレスホテル東京にて

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!